同窓会会報 Vol.38より


同窓会の皆様へ

北海道学習センター所長
新田孝彦


 新年度を迎えてもなお収束の兆しが見えないコロナ禍の中で、皆様におかれてはいかがお過ごしでしょうか。同窓会にかぎらず、自主的な市民的活動が大きく制約される中で、同窓会の継続に向けて活動を続けておられる役員の方々をはじめとした皆様のご努力に心より敬意を表するとともに、改めて日頃よりの放送大学と北海道学習センターへのご協力に感謝申し上げます。さて、2020年度は、北海道学習センターと旭川サテライトスペースにおいて、教養学部では過去最多となる260名の方が卒業を迎えられました。大学院修士課程修了者は9名、さらに北海道でははじめて博士後期課程を修了し博士(学術)の学位を授与された方が1名おられました。3月には札幌と旭川の学位記授与式だけは実施できましたが、同窓会主催の卒業・修了を祝う会については2年続けてご遠慮いただくこととなってしまいました。まことに心苦しいかぎりです。
 ただ、このような状況下ですが、学習センターの活動には新しい可能性も見えてきました。昨年度末の冬に、当初は道内各地で行う予定だった客員教員講演会と学生交流会を急遽対面とWebの併用による催しに変更しましたが、Zoomを通じて参加していただいた方が思いのほか多く、とりわけ北海道のような広大なエリアにおいては遠隔地を結ぶ通信手段として有効であることを確認した次第です。もちろん、これによってさまざまな場面における対面でのコミュニケーションの意義と重要性が減少するわけではありません。会報37号に掲載された前客員教員の小柴正則先生の一文に、「通信」の「信」には「まこと」という意味があるとのご指摘がありましたが、ICT技術の進展は、相互の信頼に基づく全人格的な交わりのためにはやはり対面でのコミュニケーションが不可欠であることを浮かび上がらせたようにも思います。
 ローマの詩人ホラティウスに「carpe diem」(カルペ・ディエム)という言葉があります。文字どおりには「一日を摘み取れ」という意味ですが、「くよくよ考えているうちにも時間は逃げてゆく。次の日をできるだけ当てにせず、今日を楽しめ(carpe diem)」という文脈で語られています。いずれコロナ禍が収束し、対面で語り合える日が来ることを待ちつつ、いまできることをできるだけ楽しみながらお過ごしくださることを祈念しております。

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