同窓会会報 Vol.41より


第9回同窓会連合会東北・北海道地区ブロック交流会

放送大学北海道同窓会
幹事 濵田 賴子


9月10日土曜日 13:00から岩手県盛岡駅西口にあります「いわて県民情報交流センター・アイーナ」にて開催されました。 愛称の「アイーナ」は公募で決まり、「あ、いいな」という言葉が由来ということです。建物はガラスで覆われていて、光が差し込み、明るく開放的な印象の施設でした。

 今回も3月の宮城開催同様、Zoomと面談のハイブリッド形式で行われました。連合会、岩手、青森、福島、北海道が会場での面談参加、宮城、山形、そして初参加の旭川、放送大学本部がZoomでの参加となりました。
 岩手同窓会会長、岩手学習センター長の挨拶があり、続いて放送大学本部副学長からZoomで、今回Web受験方式になった「1学期の受験状況」についてのお話がありました。

 本部からは、受験資格のある学生の受験割合や期間中の日毎の受験者数、時間帯の分布等、様々な角度から細部にわたるデータとその分析について、図表を用いて解説がありました。
 受験期間は2学期には日数が減少することから、休日など受験者が集中する日のシステムダウンへの懸念があること。また、不正行為への対策には、本人確認の方法や出題方法などについても考慮し検討しているとのことでした。
 また、会場受験のように枠を決めて実施してはどうかという意見も出されましたが、働いている学生から「受験時間の限定をゆるめてほしい。」という要望もあった事にふれ、「学生の利便性も考慮しつつ、公正な受験となるよう手順を踏んで改善していきます。」と結びました。

 13:35からは各同窓会との交流会・意見交換会があり、各同窓会から報告項目に基づいて、定期総会、役員会、会報発行、各行事、会の活動や会費等の報告がありました。
 コロナウイルス感染症の流行以降は、どちらの同窓会もそれまでやってきていた活動がなかなかできず苦慮しているということでした。その中で書面の活用など工夫しながら活動している実態が報告されました。また、会員や役員の成手についても、行事などで集まった機会に声かけをしてきましたが、その機会が減ってしまっているという状況が出されました。
難しい現状ではありますが、各同窓会で会員や役員勧誘への取り組みを考え努力されている様子も発表されました。
 岩手同窓会では、学位授与式でバッジを販売する時に同窓会入会用紙も準備する。青森同窓会では、役員勧誘の一方法として、学習センターに来ていて顔見知りの人に声かけをする。宮城野会では、役員になれないけれど、まずサポーターとしてお手伝いをしていただける方を見つけるなどです。
 「同窓会会員・学生の地域活動紹介」では、北海道の海岸清掃、街路花壇管理、岩手の地域の見守り隊、宮城野会の役員個人の地域貢献などのボランティア活動や福島の河川の水質調査、講演会開催、など活動の報告がありました。中には何年も継続している活動もあります。続ける難しさも抱えながら、さらに活動を積み重ねていることは素晴らしいと感じました。今回新たな活動や今後計画している活動、再開を考えている活動もあり、同窓会会員・学生の今後の活躍も期待されるところです。
 山形から役員手当、会議出席の場合の交通費についての質問があり、話題にあがりました。費用については裏付けがなく、無支給で活動しているところがほとんどであり、支給しているところでも限定的なものだという実情がそれぞれから出されました。
 同窓会会費については、年1,000円程度のところが多いですが、北海道で行っている70歳以上対象の終身会員一括10,000円納入方式は、連合会からも推奨されました。

 同窓会連合会からは各同窓会の会議等における交通費支給の難しい状況についてコメントをいただきました。今は実施が難しい事情もありますが、行事の申請をすると枠内助成金が支給されること、会議の際に遠方の方はZoom参加の形や、対面での会議あるいはZoom会議にするなどの工夫についてふれました。更に「Zoomアカウント&Web機器配備」について、未配備の地域は利用してほしいとも話されました。

 15:30~16:45は第2部として、岩手大学 人文社会科学部 木村直弘 教授を講師に迎え、「宮沢賢治と音風景」と題した公開講演会でした。
 「サウンドスケープ」という言葉が出てきました。これはカナダのR.マリー・シェーファーにより1960年代末に提唱され世界中に広まったもので、私たちが聞く音の世界がサウンドスケープということです。
 日本では一般に「音の風景」と訳されています。
 サウンドスケープの重要な特徴としてシェーファーが挙げたのが、基調音・信号音・標識音です。基調音は、例えば工場の音のようにいつの間にか聴くことの習慣そのものになってしまう音。信号音は、意識的に聴かれる音で、共同体でどうしても聴かなければならない信号である学校のチャイムやサイレン、ベルなど音響的な警告手段が例にあがります。さらに、標識音は、共同体の音を意味するシンボル的な意味合いが強い音、例えば祭りの音です。
 また、擬声語とサウンドスケープについては「擬声語はサウンドスケープの鏡」であり、印象が取り込まれ、それに対して表現が行われるということです。また、「人間が自らの内なる世界と外なる世界との真の調和を見いだすことができるのは、唯一音楽においてのみである。」という資料での説明があります。
 宮澤賢治の作品を刊行した文学者や研究をされている方々が、賢治自身やその豊かな情景描写、独特なオノマトペの表現などについて、数々の作品をもとに解説や評価をしています。草野心平は、賢治の鋭い耳を働かせた音の組み立てやリズミカルな音楽性について、自らの著書で語っています。
 講師の先生が紹介する賢治の表現の中で興味深かったのは、ザシキワラシが箒で座敷を掃く「ザワッ」=「ザシキ」「ワラシ」で、それは音だけでなく全身感覚を表現しているということでした。方言短歌の「ちゃんがちゃがうまこ」もリズム感とともに音、色、気配などの空気感も伝わってくる作品ではないかと思いました。また、『オツベルと象』では「のんのん......」というユニークなオノマトペがたくさん使われています。勢いよく押し寄せるとか大量のさまを表現する方言から来ているとのことで、賢治のオノマトペは東北地方の方言とも密接に関係していることがわかりました。
 日本のサウンドスケープ研究家の鳥越けい子教授の記述によれば、「響く音は、単なる『空気の振動としての音響』ではなく、全てを結合したひとつのトータルな感覚であること。『音』の概念は、西洋近代文明の規定する『音響』をはるかに超えた、より幅の広い世界を意味している。全身で感じる『気配』であり、『雰囲気』が重要なのである。」としています。前述の賢治の作品に出てくるザシキワラシの「ザワッザワッ」なども、そういった感覚からの表現なのかと思いました。
 講師の先生が「残したい日本の音風景100選」の岩手県の音風景を紹介していました。1, 碁石海岸・雷岩 2, 水沢駅の南部風鈴 3, チャグチャグ馬コの鈴の音 です。
ちなみに北海道は、1, オホーツク海の流氷 2, 時計台の鐘 3, 函館ハリストス正教会の鐘 4, 大雪山旭岳の山の生き物 5, 鶴居のタンチョウサンクチュアリでした。
 自然だけでなく生き物や生活文化などが作り出す音風景は、その地に暮らす人々にとって代えがたい固有のものであり、全身で感じる感覚としての大切な風景ではないかと思います。

 第3部の懇親会は、岩手同窓会の手配していただいた市内の会場で18:30から始まりました。他の同窓会との交流が深まるように同じ同窓会のメンバーが固まらない席の配置にし、周りは青森、福島、岩手の方々でした。皆さんとは初対面でしたが、いろいろな話題を提供していただき、会話も弾み和やかに交流することができました。
 岩手同窓会のメンバーの中には、遠くから車で来られている方々もいらっしゃいましたが、私たちのために遅い時刻まで会に参加いただきました。歓待の心遣いが伝わって来て、感謝の思いでいっぱいでした。

 2日目は盛岡駅バスターミナルに集合し、市街地循環バス「でんでんむし号」に乗り込み、「盛岡の街並みの成り立ち」というテーマで、ガイドブックを手に市内を見て回りました。

  (・・・・・・以下、会報に続きます。 同窓会会報第41号をぜひお読みください!)

無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう